ペルー体験記:バスに乗ってペルーを垣間みる

ペルー体験記:バスに乗ってペルーを垣間みる

南米ペルー。アンデスの山々、アマゾンの密林、太平洋沿岸の乾燥地帯、彩り豊かな環境をもつ魅力的なところです。
日本と時差は14時間。環境も時間も習慣も、日本と異なるところがいっぱいです。バスのシステムも、乗客の行動も、日本とは違うところが多いです
バスに乗って、ペルーの生活を垣間見てみましょう。また、ペルーでバスに乗りたい方も参考にしてもらえれば嬉しいです。
では、¡Vamos!

バスの種類とコブラドール

ペルーの首都・リマにはバスがたーくさん走っています。
バスと言って想像するサイズのバスもあれば、ワゴン車サイズ(Combiコンビと呼ぶ)もあります。
だいたい砂まみれで、中にはエンジンむき出しじゃないかと思うほどボロボロな車もあります。

バスやコンビには運転手の他、運転手が雇っているコブラドールという車掌さんが乗っています。バスが溢れるリマの街では、コブラドールはとても重要です。コブラドールはドアの側に立ち、行き先を叫びながら、道行く人をバスに呼び込みます。乗客が乗れば乗るほどバスの利益が上がるので、コブラドールも頑張ります。

コブラドールはバスが走っている最中も忙しく動き回ります。乗客に降りる場所を聞いたり、運賃を集めたり、乗客の下車を運転手に伝えたり。
ちなみに、無数のバスが走っていて、路線や行き先はとてもややこしいので、乗車時にコブラドールに行きたいところに行くのか聞くことが大切です。そして、降車ボタンはないので、バスを降りたいときに、コブラドールに”Baja”と言って降りたい意思を伝えることが重要です。
バスの乗り降りだけでも人と人の会話がたくさんあるのが、ペルーのバスです。

運賃は安く、近場だと50センターボス。停留所いくつか分乗ると1ソル。1時間くらい乗って2ソーレス。(運賃を払うと適当な領収書を渡されます。1ソルでも2ソーレス分という具合に。)
運賃はコブラドールに聞いて、そのまま素直に払いましょう。観光客だからといって、ボラれることはないと思います。
(1ソル=33円くらい、1ソル=100センターボス)

運賃が安く、コブラドールの呼び込みも功を奏して、街行く人はよくバスやコンビを利用しています。

 

メトロポリターノと電子カード

バスやコンビ以外に幹線道路を走るメトロポリターノというバスがあります。
いわゆる電車がわりです。電車だと線路やパンタグラフ建設の費用と手間がかかるため、道路に専用レーンと駅を作り、電車のように走らせています。2つの車両が連結した、黄色やシルバーのメトロポリターノがリマ中心を南北に結んでいます。

メトロポリターノは、バスやコンビと違って電子カードで乗車します。現金不可です。
駅で、専用プリペイドカードにチャージして、改札でカードをピッとかざして通ります。リマ中心から乗る場合は、降りる駅に関わらず一律2.5ソーレスと決まっているため、降車時にはカードをかざす必要がありません。

リマ中心から南(リマスール)に行くと、メトロポリターノの専用レーンが終了します。そこから、メトロポリターノは一般道路を走ることになります。
道路にある停留所のみで、電子カードの購入やチャージできる駅がなくなります。バスの中の運転席脇に改札があり、ピッとカードをかざして乗車します。
1時間近く乗車して50センターボスと破格です。

時々、電子カードを持たずにメトロポリターノに乗ってくる人がいます。メトロポリターノは現金では運賃を払えません。ではその人たちは、どうするか。

運転席脇の改札から、すでに乗っている乗客にカードを貸してくれないか呼びかけます。
そうすると、たいてい誰かがカードを貸してくれます。借りた人は、貸してくれた人に運賃を現金で渡します。

運転手はカードを持っていない人も、とりあえず乗せて、状況を見守ります。
そして、乗客自身が周りに助けを呼びかけて、カードを持っていない困った状況を打開するのです。
これが日常茶飯事。
困りごとは誰かに助けを求め、誰かが助ける、ペルーの懐の深さを垣間みることができます。

 

スキマ産業

ペルーに住む人たちは、たくましいと思うことが多々あります。
少しでも売り上げになるということがあれば、すかさず職業にしてしまいます

道路の車の隙間を縫い歩きながら、物売りをしている人が大勢います。チョコ、アイス、水、ペルーの旗、スポンジ、、いろんな物を仕入れて売っています。バイオリンを弾いたり、ジャグリングしている人もいます。
街角には台車を引きながらエンパナーダやパパフリータなどを販売している行商人(アンブランテ)も数多く存在します。

時々、バスやコンビにも物売りの人たちは乗ってきます。乗客に商品の説明や自分たちの状況を訴え、商品を買ってもらいます。
運転手は1〜2区間なら運賃を取らずに彼らを乗せてあげるのです。困った時にはお互い様精神が垣間見えます。

また、リマスールでのメトロポリターノでは、カードチャージの駅がないため、乗客が多い停留所には、カード貸し屋さんがいます。
メトロポリターノの乗客でカードを持っていない人に貸して、対価をもらう。借りた乗客は、運転席脇の改札にカードをかざすと、カード貸し屋にカードを返す。
チャージしたカード1枚で商売ができるというワケです。なんとたくましい。

 

心のバリアフリー

ペルーのバスの中では、お年寄りは必ずと言っていいほど座っています。妊婦さんや子連れの人も座っています。
優先的に座った方がいい人が乗ってきたら、すかさず席を変わる習慣があるのです。
座っている人が気づかなければ、周りがその人に声をかけて席を譲るよう促します。

コンビの中の優先席

ペルーのバスはステップが高く、バリアフリーになっていません。
でも、車椅子の人も乗ることができます。
ある日リマスールのメトロポリターノ停留所で車椅子のおばあさんがいました。メトロポリターノは停留所に止まったものの、運転手は運転席を離れられません。そこで、乗客が車椅子のおばあさんの乗車を手伝いました。ごく自然に
こういう光景はよく見かけます。

段差があって物理的には障害があっても、心のバリアがない。これが根っこにあるべきバリアフリーなのだと思います。

 

バスの中の音

バスやコンビ、メトロポリターノの中は賑やかです。
携帯で電話している人がいたり、音楽をイヤホンではなくスピーカーで出してる人がいたり、音を出して動画を見ている人もいます。
喧騒に包まれた街だからか、周りの人は特段気にしません。

初めは慣れないけれど、一週間もすればそんなものかという感じになります。
もちろん、子どもがぐずった時も、周りの人は嫌な顔をしません。親は肩身の狭い思いをしなくてすみそうです。

そして、ペルーの人はよく喋る喋る。喋りかける
「日本人か?私の親戚も日本に行ったことがある」など、よく喋りかけられます。
きっとあなたの方が道を知っているよというペルー人に、停留所や道を尋ねられることもあります。
ペルーの人たちは、よく喋り、喋りかけ、音に関して鷹揚な人が多いと感じます。

 

渋滞は世界第3位

世界の主要都市における渋滞、第1位ボンベイ(インド)、第2位ボゴタ(コロンビア)に次いで、第3位がリマ
ちなみに4位ニューデリー(インド)、5位モスクワ(ロシア)だそうです。
たしかにリマの朝夕は特に激混みで、通勤や通学に1〜2時間は当たり前、かなりの時間を費やしています。
電車は少なからずあるものの、車やバスが主流のため、日々道路は渋滞しています。
(最近は主要道路は車のナンバーにより交通制限を設ける渋滞対策が始まりました)

ペルーの人たちはハンドルを握るとアグレッシブになります。そして、空間把握能力がハンパないのです。
渋滞している隙間を縫うように車を走らせていく。隣の車との隙間はわずか数センチ。ぶつかるのではないかと冷や冷やします。割り込み、クラクションは日常茶飯事。

渋滞があるから、到着予定にしている時間に行けないこともしばしば。
そのためか、ペルーに住む人たちは時間にこだわらないことも多いです。
10時に集まろうというと、11時くらいに集まったりします。ペルー時間Hora Peruanaです。

バスやコンビ、メトロポリターノに時刻表はありません。あるのかもしれませんが、そんなもの当てにはなりません。バスが来る方向を見て、待つ。いろんな行き先のバスが来るから、乗りたいバスが来たら腕と手を出して止まれの合図を出します。

リマ中心部のメトロポリターノでは、同じ方面の乗り場が2つあり100mほど離れています。どちらの乗り場に止まるかわからないので、メトロポリターノが止まる乗り場に合わせて、乗り場間をダッシュする必要があったりします。
困ることもあるけれど、この適当感、アナログ感がなんともおもしろいのです。

 

まとめ

日本にない職業の知恵がある:
・コブラドール
・カード貸し
・道路で物売るアンブランテなど

運賃が安い:
・線路は敷かずに道路を使用
・利用する人が多い

道路状況:
・渋滞は、世界の主要都市の中で第3位!
・少しでも渋滞の緩和のため!?一方通行が多い
・混雑時には交通警察が信号を無視して、交通整理する(余計に混むという説もある)
・割り込み、クラクションは当たり前
・幅ギリギリの運転

音は気にしない:
・携帯で話す人多い
・音楽をスピーカーで流す人もいる
・子どもがクズってもあたたかく見守る

助け合い、心のバリアフリー:
・お年寄りや妊婦さん、子連れにはすぐに席を譲る
・車椅子の人は乗客が手伝って乗車
・アンブランテの運賃は運転手の裁量でとらない
・背の低い人が多いため、つり革を共有する

自分のことは自分で:
・カードは乗客同士で呼びかけて貸し借りする
・降りるときは降りる意思を伝える
・行き先が分からなかったら聞く

適当:
・領収書は適当
・時刻表はない
・来たバスを見て、腕と手を差し出して止める
・来たメトロポリターノを見て乗り場間を走る

リマで、バスやコンビ、メトロポリターノに乗るのはおもしろい。
地元の人からよく言われたのが、スリには注意。幸いにも私は被害にあったことはないですが、注意するに越したことはありません。
機会があれば、用心しつつも、リマのバスライフを楽しんでください

絶妙なバランスの上で今日も多くのバスやコンビが走っている。

こんなペルーが大好きです。