コスタリカはエコツアーでも人気で、環境に対する意識が高い国だけど、
いったいどうやって自然保護を大切にする人が育っているのだろう。
気になって、聞いてみました。
コスタリカのサラピキにあるピエレーラ自然保護区で、ボランティアをしている山ちゃん(山添裕太さん)が答えてくれました。*ピエレーラ自然保護区訪問記はこちら→コスタリカ:一週間旅の軌跡〜個性的な色とりどりの生き物たち〜Día 2
少しでも疑問を解消することが出来たのなら幸いです。
コスタリカ人の自然環境に対する意識が高いのはなぜ?
コスタリカですが、教育に力を入れており、識字率の非常に高い国で (約98%)、ジェンダーや人種差別の問題を無くす教育にも力を入れています。
もちろん、環境教育にも力を入れており、環境破壊や密漁等を取り締まる法律は厳しいものがあり、国民の環境保護への意識も、他の中南米諸国と比べると非常に高いと思います。
では、かといって、国民全員の環境や自然保護への意識が高いかというと、
残念ながら、実はそうでもないのが現状です。
例えば、野生動物の密猟は法律で禁止されていますが、いまだに、密猟者はいて、
国立公園内で野生のイノシシやシカを殺したり(食料とする目的)
珍しい鳥や生き物を捕獲したり(販売目的)
しているところを国立公園のレンジャーに見つかり捕まったというニュースはよく目にします。
田舎では、いまだに食べるためや販売をするために野鳥、イグアナ、イノシシ、アグーチ等、様々な生き物を密猟している人々は、存在しています。
また、普通の人々は、毒蛇とそうでない人間にとって無害なヘビを見分けることが出来ず、ヘビとみるとすぐに殺してしまいます。
どうやってウィリアムさんのようなナチュラリストが育ってきたの?
ウィリアムさんは、森を回復させピエレーラ自然保護区をつくり、自然の美しさ大切さを伝えているナチュラリストです。
ウィリアムさんが子どもの頃は(今から40年以上前)さらに状況はひどく、
田舎の人々は、当たり前のように、色々な生き物を殺したり、捕まえて家で飼ったりしていたそうです。
ウィリアムさん自体も子どもの頃、バナナ園で働いており、
バナナ園のバナナを食べに来る野鳥や動物をライフルで撃ち殺し、
農場を拡大するために、森を切り開くのは日常茶飯事だったそうです。
当時は、それが普通で、何の問題もなく、ウィリアムさんのお父さんや他の兄弟も同じようにして暮らしていました。
そんなウィリアムさんの価値観が変わったのは、大人になり、
あるサラピキのエコロッジで働きはじめたのがきっかけです。
ウィリアムさんとお兄さんのジョバンニさんはそのエコロッジで働いている際、
コスタリカ国立博物館が主催する熱帯雨林の生き物(特に蝶)のインベントリー(目録)を作成するプロジェクトに携わりました。
そこで、彼とお兄さんは博物館の生物学者たちの手伝いをする中で、
自然や野生動物の美しさ、奥深さ、大切さに気付き、多くのことを学びました。
そして、父親が自分たちに教えてくれたことは、実は間違っていたんだ、
自然や動物というのは、殺したり、破壊するものではなく、守るべきものなのだということに気づき、
そこから、自然保護への意識が高まり、その後のピエレーラ自然保護区設立にいたります。
ウィリアムさんの環境保護に対する思い
なので、元々、ウィリアムさんが保護区を作ったきっかけの一つというのは、
ウィリアムさんが幼き頃に自然を破壊し、動物たちの命を奪ってきたことへの罪滅ぼしの意味合いもあるのです。
そして、彼は自分がしてきた過ちを子どもたちに繰り返させないように、
自分の子どもたちや、保護区を訪れた子どもたちに対して、
自然の面白さ、美しさ、保護することの大切さを教え続けています。
実際、コスタリカの多くの保護区がピエレーラと同じように、
過去、自然を破壊してきた人々が、自然の大切さに気付き、学び、
元々、牧場や農場であった場所を買い取り、木々を植え、森を再生させた背景を持つ場所も多く、
そういった場所の多くでは、
先人たちの過去の過ちを、今を生きる人々、特に子どもたちが繰り返さないよう、
環境保護意識を高める啓発活動を行っています。
ウィリアムさんが経験と出会いの中から学び、気づき、何にも代えがたい思いを持って保護区をつくり、自然の美しさや保護することの大切さを伝えていること、
とても心に響いてきました。
また、ウィリアムさんと同じように、自然を壊してきた過ちを繰り返さないよう行動にうつし、森を再生させてきた人がいることに希望を感じます。
と同時に、自分の生活の中で、身近な社会の中で、自然への負荷・破壊につながる消費や行動の過ちを見直して変えていこうと思いました。
山ちゃんが教えてくれたウィリアムさんのストーリーは、自然と生きる気づきと行動への勇気の一歩をもらえる気がして、私だけにとどめておくのはとてももったいないので、ここに掲載させていただきました。
山ちゃん、Muchas gracias!
時々、ピエレーラ自然保護区オンラインツアーを行っています。機会があれば参加してくださいね。
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