はじめまして。サイです。
いつもモンチッチと一緒に定位置のパナマハットの中にいます。
ぼくの故郷は、スマトラ島。
スマトラサイは、東南アジアのスマトラ島やボルネオ島の熱帯の森に生息するサイの一種です。
サイの中では最も小さな種で、まばらな毛が全身を覆っています。
アジアのサイには珍しく、角を2本持っています。
現在生息するスマトラサイは100頭ほどと推定され、サイの中で最も絶滅が危ぶまれている種です。
なぜ、ぼくたちスマトラサイは、絶滅に追い込まれるほど急激に減ってしまったの…?
簡単に言うと、人間のしわざ。
密猟と森の破壊
今回は、森の破壊の大きな要因である、パーム油について考えます。
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サイ:パーム油ってなに?
チョコ、食べたことありますか?
カップラーメン、食べたことありますか?
アイスクリーム、食べたことありますか?
私はあります。
おそらく多くの人が、日常的にパーム油を口にしています。
上記の食品は一例ですが、原材料欄に植物油脂や加工油脂と表記があれば、
それがパーム油です。
日本では、食品、洗剤、化粧品などにパーム油が使われています。
どこから来たの?
生活に欠かせないのはわかったけど、パーム油はどこでつくられているの?
パーム油の元は、アブラヤシです。
ヤシにもいろんなヤシがあります。
ココナッツがとれるココヤシ、アサイーボウルが一躍有名になったアサイーヤシ、ホウキや縄に使われるシュロ、などなど様々です。
アブラヤシは世界に2種だけで、アフリカと南アメリカの熱帯林に自生していました。
アブラヤシからは、赤みがかった独特の匂いを持つ油がとれ、昔から原産地では料理などに使われていました。
他のヤシや植物に比べ、アブラヤシは効率よく油がとれます。
同じ面積あたりの油の生産量は、大豆の10倍!ともいわれています。
脱臭・脱色できる技術が進むと、世界中でパーム油の需要が拡大しました。
アブラヤシは、熱帯地域でしか栽培できません。
アフリカ産のアブラヤシが熱帯地域の東南アジアに持ち込まれるようになりました。
現在、パーム油のほとんどは、インドネシアとマレーシアで生産しています。
自然林とアブラヤシ
パーム油が東南アジアで生産されているのはわかったけど、なぜ森が壊されて、僕たちの住む場所がなくなっていくの?
それは、私たちが安いものを買い求めているからかもしれません。
安いものをつくるために、企業はパーム油を安く仕入れます。
安くパーム油を仕入れるために、企業は安く売ってくれる製造業者から買い付けます。
安く効率よくパーム油を生産するために、製造業者は大きなアブラヤシ農園をつくります。
大きなアブラヤシ農園をつくるために、
森が壊されます。
パーム油をやめても…
パーム油をやめて、他のものにできないの?
アブラヤシ農園は、たくさんの問題を抱えています。
動物たちが暮らす森がなくなる、温室効果ガスが排出される、強制労働や児童労働、、、
でも、世界で植物油の需要が増え続ける限り、パーム油をやめても、残念ながら問題は解決しません。
パーム油をやめても、別の作物と別の場所へ問題が移ってしまうでしょう。
パーム油は他の植物油と比べて、同じ面積で生産できる油の量がとても多いため、世界の植物油需要をまかなうために必要な土地が、最も少なくて済む油でもあるのです。
買うときに気をつけてみよう
パーム油をやめないのはわかったけど、これ以上森を壊されたくない。どうすればいいの…?
パーム油をやめることはできないけれど、生産や開発の仕方を変えていくことはできます。
少しずつ、手付かずの自然林や保護価値の高い地域で新たにアブラヤシ農園を開発しない約束が広がってきています。
RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)認証マークがついた製品は、
上の約束や、野生動物の保護、労働者の安全や権利保護などに関する基準を満たした農園のパーム油が使われています。
基準づくりや認証、チェックは、パーム油生産と流通に関わる様々な団体や企業が関わっています。
この認証マークのおかげで、自然に負荷の少ない商品を選べますね。
世界に流通しているパーム油の20%がRSPO認証油に切り替わってきています。
現在、取り組みが一番進んでいるのは、欧米です。
オランダをはじめとする欧州各国は、2020年までに、使用するパーム油を100%、RSPO認証油に切り替えると宣言したそうです。
RSPO認証を増やそう
よかった。まだ希望はあるね。日本にもRSPO認証マークがついた製品はあるの?
日本では、80ほどの企業がRSPO認証油を使い、洗剤や化粧品、食品をつくっています。
サラヤ、花王、資生堂、味の素、明治、日清食品、エスビー食品などの企業です。
近くの西友でRSPO認証マークがついた製品を探してみました。
一生懸命探したけれど、この2つだけしか見つけられませんでした。
日本はまだまだこれからみたいです。
2012年のオリンピックから、運営において「持続可能な調達」が求められるようになりました。
2020年の東京オリンピック運営に向けては、木材や農畜水産物に続き、パーム油の調達基準が定められる予定だそうです。
原材料には「植物油脂」「加工油脂」としか表れないパーム油。
私たちは気づいていないだけで、私たちの生活とパーム油は、かなり密接に関わっています。
消費する私たちが気づいて、メーカーに「RSPO認証油を使った製品を買いたい」という声を届けるだけでも大きな影響力があります。
今朝、大好きなブラックサンダーを作っている有楽製菓(株)に問い合わせメールを送ってみました。
回答が来たら報告します。
好きなものこそ、地球にやさしくあってほしい。
→数日で回答が来ました。コチラ:地球のこと〜ブラックサンダーとパーム油とカカオ〜
地球のこと
これからも勉強して動いていかなきゃだ!
今回は、WWF会員になると、年に4回送ってくれる「地球のこと」に触発されてまとてみました。
地球に生かされている自分に、できることから少しずつ。
追記:
パーム油のことがよくまとまっているページ:パーム油調達ガイド
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